「転職」と聞くと、どんな仕事が良いか、どんな会社が良いか、考えて、探して、転職活動して…と非常に大変なイメージですが、実際のところは、どうなんでしょうか?
意外に楽に転職してる人がいる?
アメリカの転職者の4分の3が、仕事を探してなかった!?
ちょっと衝撃的なデータがありました。アメリカでの話ですが…
転職者のほぼ4分の3は仕事を探していなかった。つまり、人材紹介会社に声を掛けられたか、口コミで評判が広がり他社の目に留まったかのどちらかで、熱心に履歴書を送り続けた結果ではなかった。
Bloomberg 果報は寝て待て、転職チャンスは向こうからやって来る-研究
つまり、積極的に職探しをしてなくても、人材紹介会社や他社の方から、「転職しないか?」と声をかけられて転職できてる人が、アメリカの転職者の4分の3を占めてるということです。
日本でも転職募集の3分の1が、知人・友人の紹介やスカウト
日本の方は、どうなんでしょう?
厚生労働省の2015年の調査によると、転職者を募集する場合、スカウトに頼る方法が6%、友人・知人などによる縁故(コネ)が31%、親会社・グループ会社を頼るのが6%ありました。日本でも転職募集の3分の1以上が、スカウトや知人・友人や関連会社を通じて、目ぼしい人物に声をかけて集められているのです。
転職の2つのルート
つまり、転職には、二つの向きがあるということです。
- 転職希望者 ⇒ ハローワークや転職仲介会社等 ⇒ 会社 (約2/3):求める転職
- 会社⇒ 知人・友人や関連会社等 ⇒ 目ぼしい転職候補者 (約1/3):求められる転職
転職とは、1.のように、まず自分から転職を決意して、転職する仕事を決めて、転職に必要な勉強やスキルアップの努力をして、求人をしてる会社を探して、いろんな会社に面接に行って、自分から会社に「よろしくお願いします」と言う。多くの人は、そんなイメージでしょう。
しかし、世の中には、会社の方から、知人・友人や関連会社などに「誰か良い人いないか?」と働きかけて、転職候補者を探し、会社の方から個人に「よろしくお願いします」と言うパターンもあるのです。しかも、3分の1も。
コネ転職も、実力が必要
「知人・友人の紹介」と言ったって、要は「コネ」じゃないか。実力と関係なく転職できても、嬉しくない!
そう思う人もいるかと思いますが、果たして、そうでしょうか?
コネがあるということは、言い換えれば、大なり小なり、その人をひいきにしてくれる人脈があるということです。
そして、その人脈を担保に、その人の最低限の信用が保証されるということです。会社の金やモノを盗んだり、暴力を働いたり、会社に損害を与えるようなこと、会社にマイナスなことはしないだろう、という最低限の信用が少なくともあるのです。
そういう信用というのは、会社にとって、能力以上に重要なことです。いくら優秀でも、会社に損害を与えられたら、まったく無意味な人材どころか、有害な人材だからです。転職する人にとっても、転職先の会社が信用できるかどうかわからず不安ですが、会社の方も転職してくる人が信用できる人かどうかわからず不安なのです。コネがある人は、そういう不安を和らげてくれるのです。
紹介してくれる知人・友人にしても、自分が紹介した人が、転職先で能力を発揮できず、会社に迷惑をかけるようなら、面目丸つぶれなわけですから、ある程度の能力も保証されてると期待されています。
逆に言えば、最低限の人脈と信用と能力がないとコネ転職なんてできないし、人脈と信用と能力があれば、会社から働きかけがあった知人・友人などは、喜んで紹介してくれて、転職が転がり込んでくる確率が上がるわけです。
「“隠れ”求められる転職」もある
転職のための勉強、スキルアップ、資格や免許の取得、産業や職業に関する情報収集などの転職準備活動をしなかった人が、転職者の6割以上もいるそうです。
自分から職探しをして、自分から会社に面接に行って転職する「求める転職」であっても、人脈、信用、能力などが会社の求める条件をクリアしていれば、会社の方から「是非、うちに来てください!」と求められる「“隠れ”求められる転職」もあるでしょう。
そういう人は、特別に転職準備活動は必要なかったのでしょう。そんな人が、6割以上もいるということです。
求める転職と、求められる転職、どちらが難しいか?
自分から会社に転職をお願いするフツーの「求める転職」よりも、会社から自分に転職をお願いされる「求められる転職」の方が、他人だより、運だよりで、とても難しそうですが、実際、そうでもないのです。
それは「求められる転職」が簡単だというわけではなく、「求める転職」の方が、想像してる以上に、いろいろと難しい問題を抱えているのです。
そうしたことを整理して、「求められる転職」を勧めている本を見つけました。
山口周『天職は寝て待て~新しい転職・就活・キャリア論~』です。
次回、この本をベースに、求められる転職のための戦略を考えてみたいと思います。
↓私自身は、フリーランスとしてこれまでやってた仕事の分野をガラッと変えた転職をしようとしています。しばらくは仕事や転職に関する本を読んで整理し、考えていきたいと思います。