「本当の自分」を見つけるには、どこを見ればよいか

昨日は、「自分」の中だけを探してしまうから、「自分探し」が失敗すると書いたり、「自分探し」をやるとしたら、自分の“中”を見つめるのではなく、自分の“外”を見ないといけないのだと書いたりしました。

これは、自動車の運転に似ていると思います。

目的地に向け、安全かつスピーディに、自動車を運転しなきゃいけない時に、「“本当の車”とは何だろうか?」「“本当の車”はどこにあるのか?」なんて、しょっちゅう考え、「本当の車探し」をやってたら、どうなるでしょうか?

「ハンドルを右に動かせば車は右に動く!ハンドルを左に動かせば車は左に動く。ハンドルが車をコントロールしてるんだから、車の本質は、ハンドルにある!」と思い込み、ハンドルばかりを見つめていたら、どうなるでしょうか?

「アクセルを踏めば、車は進む。アクセルを緩めれば、車はやがて停まる。車の本質は、アクセルにある!」とばかりに、アクセルをじっと見つめ続けたり、アクセルを踏む足に全神経を集中してたら、どうなるでしょうか?

車が動いてない時であれば、車はいつまで経ってもまったく進まないでしょうし、車が動いている時であれば、命にかかわるほど非常に危険なことになるでしょう。

それに、そうやって、「本当の車探し」に成功した!と思ったところで、それは単なる思い込みです。ハンドルやアクセルは、「車の一部」であって、「本当の車」でも「車の本質」でもありません。むしろ、「車の本質」は、「目的地に徒歩や自転車などより、速く、多くの人やモノを運べる」ことにあり、いわば「車の外」にあります。あるいは、「車と世界の間」、または「車と人間の間」や「車と社会の間」にあると言っても良いかもしれません。

その「車の本質」を見いだし、車を「本当の車」にしてあげるためには、車を停めたままの状態にするのではなく、車を運転し、目的地に速く着くということをやる必要があります。

もちろん、目的地に着く前に事故ってしまえば、その「車の本質」を実現できず、下手すると、車が車ではあることが二度とできなくなってしまうので、「車の外」である道路や他の車や人などをよく見て、安全に運転する必要があります。地図やカーナビで目的地までのルートを決め、道路標識を見ながら、車の進路を選択して、コントロールしていく必要もあるでしょう。それなのに、右折する時にも、左折する時にも、真っ直ぐに進む時にも、「車の中」のハンドルを見つめっ放しで、それらに神経を集中させ続けたら、どうなるでしょう?きっと、まともに右折や左折ができないだけでなく、ふらついて、まともに真っ直ぐ進むことさえ、あやしくなるでしょう。

「自分」だって、意志か感情か魂のようなものを運ぶ乗り物のようなモノだと思えば、似たようなものです。「自分探し」は、人生の岐路に立ってる時にやりがちですが、そこで右の道に進むにしても、左の道に進むにしても、真ん中の道を進むにしても、「自分の外」を見ず、ただ「自分の中」だけを見てたら、事故るか、良くて交差点で立ち往生です。

探すべきは「本当の自分」ではなく、「行先」や、そこへの「行き方」です。そして、見つめるべきものも「本当の自分」ではなく、自分の身近な「周囲」や「少し先の未来」の状態です。自分の外の世界や社会がどのようになっているかをチェックし、その状況に対して、自分の意志や能力を照らし合わせ、自分は何をやりたくて、何ができて、それをやるためには、どういう方法で何をすべきか、どういう障害があって、どういうリスクがあるか…。そういった探すべきことや見るべきことは、「自分の中」ではなく、「自分の外」、あるいは「自分と世界の間」や「自分と社会の間」などにあるのです。

「車」の場合は、車に乗る前に「行先」は決まっていることが多いし、そこへの「行き方」は、地図やカーナビやガイドブックが教えてくれるし、どこを見つめれば良いかは、自動車学校で「前後左右を時々、確認しながら、遠すぎず、近すぎず、少し先を見ながら運転しましょう」と教えてくれたでしょう。

ところが、「自分」の場合は、生まれた時に「行先」は決まってることはほとんどないし、「生き方」も、カーナビやガイドブックほどには、誰も親切に教えてくれない。どこを見て生きて行けば良いかを教えてくれる人も、なかなかいない。仮にいたとしても、本当かどうか分からない。多くの人は、ただ、なんとなく、それらが分かり、身に着けてるけど、ときどき、分からなくなって、迷ってしまう。そういうところが、「車」と「自分」の違いなんだと思います。

よく「人生」を「道」に喩えることがあるけど、それが、そう単純でもないことは分かりつつ、以上、「自分」を「車」に喩えてみました。

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